山村自然楽校「しもなの郷」(高知県吾川郡仁淀川町)にて「生誕150年 金子直吉翁 たたえる祭り」が開催されました。

2016.10.13.

simonanosato2.PNG鈴木商店の大番頭として偉大な功績を残し、福沢桃介(福沢諭吉の女婿で明治・大正期の実業家)が自らの著書「財界人物我観」の中で"我が国におけるナポレオンに比すべき英雄"(財界のナポレオン)とたたえた金子直吉は慶応2(1866)年6月13日、高知県吾川(あがわ)郡名野川村(現・吾川郡仁淀川町)に誕生しました。

金子直吉_1.png今年は生誕150年に当たることから、仁淀川町内外の有志により「金子直吉翁をたたえる会」が結成され、その偉業・人物を振り返り、その功績をたたえ、その人物を顕彰するイベントが企画され、この度、金子直吉および鈴木商店に関心をお持ちの方々を中心に県内外から生誕地・仁淀川町下名(しもな)野川(のかわ)の山村自然楽校「しもなの(さと)」に主催者の予想をはるかに上回る約200名の方々が参集し、これ以上ない晴天の下で盛大に開催されました。

なお、当記念館からは金子編集委員と市川編集委員・双日総合研究所経営管理部長の2名が参加し、太陽鉱工からは「カネ辰」の暖簾(下の写真左)と合名会社鈴木商店の法被(はっぴ)()(下の写真右)(いずれもレプリカ)が貸与され、双日からは「天下三分の宣誓書」の一部(レプリカ)(下の写真)が提供されました。

norenntohappi.PNGtennkasabnnbunnnosennseisyo.PNG冒頭の写真は下名野川地区(左)とイベントの会場・山村自然楽校「しもなの郷」です。

【生誕150年 金子直吉翁 たたえる祭り 概要】

日 時
平成28年10月10日(月) 10:00~15:30

会 場
山村自然楽校「しもなの(さと)」(高知県吾川郡仁淀川町下名野川619番地 TEL 0889-36-0005)

目 的
金子直吉生誕150年を機に、生誕の地から光を当てて人物像を浮き彫りにし、その生きざまを学び、その功績を発信するとともに実業家金子直吉の功績をたたえ、その人物像と偉業についての認識を深めるとともに、金子直吉が行った「ものづくり」、「人づくり」を学び、そこから得た知識を活かした産業振興や人材育成等の地域活性化を目的とする。

主 催
金子直吉翁をたたえる会
会長:藤﨑源彦(もとひこ)

協 賛
仁淀川町、仁淀川町教育委員会、仁淀川町観光協会

共 催
高知県立大学

後 援
高知県、高知県教育委員会、仁淀ブルー観光協議会、仁淀川町商工会、高知新聞社、RKC高知放送、KUTV高知、KSSさんさんテレビ、NHK高知放送局、辰巳会・鈴木商店記念館

プログラムの概要
※総合司会:竹村志麻(KUTVテレビ高知アナウンサー、名野川地区出身)

〇午前の部(10:00~12:00 )

Ⅰ.開会
aisatu1.PNGイベントは金子直吉翁をたたえる会の中西二三(つぎみつ)副会長(しもなの郷運営委員会 会長)(上の写真左)の力強い開会宣言により幕を開けました。まず、「金子直吉翁をたたえる会」の藤﨑源彦会長(上の写真右)から主催者挨拶があり、この度の「金子直吉翁 たたえる祭り」を第一歩として地域の活性化をはかり、将来名野川地区に金子直吉像を建立したい旨を表明されました。

aisatu2.PNG武田良二高知県産業振興推進部 地域産業振興監(仁淀川町地域担当) (上の写真左)はこの度の関係者の尽力に敬意を表し、地域産業の振興に尽力すべく表明され、大石町長(上の写真右)は町の活性化をはかり、仁淀川町が金子直吉の生誕地であることを広く知らしめたいと強調されました。

kaneko.PNG鈴木商店記念館の金子直三編集委員(左の写真)は金子直吉の実弟・楠馬の曾孫であることなど自己紹介をし、続いて辰巳会および鈴木商店記念館について解説し、近年全国各地で多くの鈴木商店関連イベントが開催されていることも紹介されました。





Ⅱ.金子直吉の人物紹介/高知県立大学地域学習(金子直吉紙芝居)
kkamisibai.PNG高知県立大学の皆さんによる「しもなの郷」での2泊3日の研修成果、「金子直吉紙芝居」が発表されました。

この発表により参加者は金子直吉の数々の偉業、人となりなどを再認識することができました。





Ⅲ.基調講演①
講師:玉岡かおる(鈴木商店の店主・鈴木よねを主人公にした「お家さん」の著者)

演題:近代日本を焚きあげた煙突男・金子直吉~発展と危機の歴史に学ぶ

tamaoka2.PNG【要約】
まずは金子直吉の業績を知り、そこから何を学ぶかを知ることが大切との話があり、続いて金子直吉の人物像について次のような解説をされました。

金子直吉は鈴木よねに対する忠義に生き(忠義の人であった)、自らがトップになるためでもなく(表舞台に立つこともなく)、金儲けをするためでもなく、後ろ指を指されるような行動をすることもなく、高志(こうし)をもって人のため、鈴木商店のため、天下国家のために働いた「覇者」ではなく所謂「王者」の道を歩んだ人であった。

また、商品を外国人好みに加工・製造し、それまでの輸入ではなく輸出によって儲けるという新たな形態の商売に本格的に進出した人物。鈴木商店は、鈴木よね、金子直吉の主従二人の協力の下で成功した好事例である。私たちは以上のことを学ぶべきである。

〇昼食タイム
tyuusyokutaimu2.PNG名野川磐門神楽 演舞、仁淀川町物産販売、町内商店のお弁当販売
力強い名野川磐門神楽が披露される中、お茶・お茶のスイーツ(ビバ沢渡、池川茶園)など地元の物産が販売され、会場は大いに賑わいました。

P1050157.JPG※当記念館の地域特集「北海道(羽幌)」にてご紹介しています北海道苫前郡羽幌町から地元の物産(和菓子など)、パンフレット、リーフレットの提供があり、適宜参加者にお持ち帰りいただきました。一人でも多くの方に羽幌町のことがPRできれば幸いです。







〇午後の部(13:00~ 15:30)

Ⅳ.基調講演②
講師:鍋島高明(たかはる)(「大番頭 金子直吉」の著者、元・日経記者、市場経済研究所代表取締役、鈴木商店記念館監修)

演題:金子直吉の最大遺産

P1050162.JPG【要約】
金子直吉が「天下三分の宣誓書」を書いた当時は旧勢力(三井、三菱)と新興勢力(鈴木商店など)が(しのぎ)を削っていた時期。金子は一時三菱に入るという話もあったが、彼の実力を遺憾なく発揮する意味では鈴木商店に入ったことは幸いであった。

金子は多くの人材を育て、多くの企業を残した。鈴木よねが金子にすべてを任せ、金子も若手社員に任せるという信頼関係は素晴らしい。



金子の最大遺産は一言で言えば「勇気ある高尚な生涯」と言える。勇気をもってリスクをとりながら数多くの事業を立ち上げ、一方では私利私欲を持たない高尚な生涯を実践した人物が金子直吉である。今のような閉塞感漂う時代こそ、金子直吉のような行動が必要である。

Ⅴ.朗読
P1050166.JPG旧名野川小学校での金子直吉翁勉強会の再現
堀田(そら)さん(仁淀川町下北川出身、当時の名野川小学校卒業生)の朗読により、6年前の吉原強さんの講演要旨聴講の様子が再現されました。








Ⅵ.パネルディスカッション
テーマ:金子直吉の「ものづくり」、「人づくり」から学ぶ地域おこし

パネリスト:玉岡かおる(講演者)、鍋島高明(講演者)、大原栄博(池川木材工業)、岸本憲明(ビバ沢渡)、藤﨑源彦(金子直吉翁をたたえる会 会長)
※コーディネーター:宇都宮千穗(高知県立大学准教授)

【要約】
P1050174.JPG大原栄博、岸本憲明のお二人は、それぞれ木材資源を活用した製品、お茶関連の商品(いずれも付加価値のある製品・商品)の開発に注力し、効率化をはかり名野川地区の自然を守りつつ、将来を見据えて地元にしっかり根をはった企業として地域の活性化に注力していく旨を表明されました。

玉岡さんからは、豊かな自然を失うことなく100年後の子・孫のための投資をおこなうべきとの話があり、鍋島さんからは失敗を恐れず(失敗と成功は紙一重)地元の特色を生かし、木材に関するニッチ産業に参入するなど積極的に行動することが肝要であるとの話がありました。

藤﨑会長からは、このイベントを実施して本当によかった。イベントが一過性のもので終わることなく、規模は縮小しても来年以降も同様の会を続けて行きたい、自然を破壊するのではなく活かしていく産業が最後には勝利すると信じているとの話がありました。

なお、パネルディスカッションでは会場の参加者からも積極的に発言があり、地元の活性化に対する関心の高さを窺うことができました。

Ⅶ.閉会
大野敏光金子直吉翁をたたえる会 副会長(前仁淀川町教育長)による閉会宣言がなされ、実質4時間半にわたる熱のこもったイベントは大盛況の(うち)に幕を降ろし、参加者は三々五々「しもなの郷」を後にして家路につきました。

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