「神戸発祥の総合商社の源流・鈴木商店を知る」勉強会で、当記念館の編集委員・金子直三氏が講師を務めました。
2018.8.26.
当記念館の編集委員会ブログ(2018.5.21)にてご案内のとおり、今年は初の試みとして鈴木商店関係書簡等を題材にした4回の「神戸発祥の総合商社の源流・鈴木商店を知る」勉強会を企画し、この度第1回として「金子直吉遺芳集」(編集:辰巳会本部・柳田義一、昭和47年1月1日発行)に収録されている200余りの金子の書簡の中から4点を選び、当記念館の編集委員・金子直三氏が以下の3つのテーマについて解説しました。
【第1回勉強会 概要】
■日時 平成30年8月25日(土) 14:00~15:30
■場所 神戸ポートオアシス5階 502会議室(神戸市中央区新港町5番2号)
■講師 金子直三(鈴木商店記念館編集委員)
■主催 神戸市(みなと総局 計画部 港湾計画課)
■テーマ
①「東京ステーションホテルを立去るに臨んで」(鈴木商店が破綻し、金子が定宿にしていた同ホテルの20号室を立去る際に詠んだ俳句を伝える書簡)
②「柳田富士松の病状と死」(金子と並ぶ鈴木商店の二大柱石、柳田富士松の病状と死を悼む金子の心境を伝える書簡)
③「鈴木商店の再興をかけた羽幌炭砿」(鈴木商店破綻後に金子が挑んだ、起死回生の炭鉱開発にまつわる書簡)
※画像はテーマ①「東京ステーションホテルを立去るに臨んで」に関する書簡
『十余年の春秋をすこしたる此のホテルの二十号を立去るにのそみて 落人の身を窄め行時雨哉
片水 椋野老兄』
勉強会は、主催者(神戸市みなと総局 計画部 港湾計画課)・田中謙次係長の司会で始まり、当記念館の編集委員・前田勝氏による勉強会の開催に至った経緯の説明の後、金子氏による勉強会では、「金子直吉遺芳集」に収録されている遺墨5点の紹介に続き、参加者の皆様には各テーマ毎に用意された金子直吉の書簡(原文と解読文)をご覧いただきつつ、次の各項目について解説がなされました。
①東京ステーションホテルを立去るに臨んで
・金子直吉が俳句を詠むようになった経緯
・金子と東京ステーションホテルの関係
・第一次世界大戦終結による反動不況 ⇒ 鈴木商店経営破綻 に至る経緯
・当時、金子が詠んだ俳句
・東京ステーションホテルの歴史(ご参考)
②柳田富士松の病状と死
・鈴木岩治郎による鈴木商店創業
・岩治郎死去に伴う店主・鈴木よね、金子直吉、柳田富士松による新経営体制への移行
・柳田富士松の出自
・「辰巳屋」の暖簾分け
・鈴木商店における柳田の働き
・柳田の病状と死
・柳田の人物評
・柳田富士松の頌徳碑(鈴木商店ゆかりの祥龍寺に建立)
③鈴木商店の再興をかけた羽幌炭砿
・北海道における羽幌町・羽幌炭砿の位置関係、現在の羽幌炭砿のヤマの様子
・羽幌炭砿の歴史
・往時を偲ぶ遺構等(画像による紹介)
当日は、満席となる70名余(関係者を含む)の方の参加をいただき、参加者の中には金子直吉直筆の書簡を興味深く見入る姿が数多く見られ、初回の勉強会は大好評のうちに終了しました。
■第2回勉強会(鈴木商店関係書簡から鈴木商店の実像に迫る)は10月27日(土)、14:00~15:30、当記念館の編集副委員長・小宮由次氏による勉強会(テーマ:天下三分の宣誓書から読み取れるもの)を予定しています。
■第2回講演会は9月29日(土)14:00~15:00、相生市立歴史民俗資料館歴史講座講師・特定非営利活動法人「相生いきいきネット」相生映像アーカイブ担当・当記念館協力者の松本恵司氏による講演(演題:鈴木商店と造船事業)を予定しています。(詳細は下記の関連資料、関連リンクをご覧下さい)
講演会・勉強会とも、申込開始日などの詳細につきましては神戸市のホームページ等で随時ご確認下さい。
下記の関連資料も合わせご覧下さい。