「港神戸の発展に貢献した総合商社の源流・鈴木商店」講演会で、脚本家の村田裕子氏が講演されました。
2019.7.8.
神戸市主催の「港神戸の発展に貢献した総合商社の源流・鈴木商店」第1回講演会で、脚本家の村田裕子氏が講演されましたのでご紹介します。
【村田裕子氏 講演概要】
■日時 : 令和元年7月6日(土) 14:00~15:00
■場所 : 神戸ポートオアシス5階 503会議室(神戸市中央区新港町5番2号)
■主催 : 神戸市(港湾局 計画部 港湾計画課)
■演題 : 「彼の男 十字路に身を置かんとす」の舞台化
【村田裕子氏のプロフィール】
・劇団「LiveUpCapsules」主宰。2001年同劇団旗揚げ。全作品の作・演出を行う。多面舞台(多面客席)の舞台作りを行い、舞台と観客との垣根を取り払う表現方法を目指している。
・2014年ニューヨーク市で行われた演劇フェスティバ FringeNYCに参加。2015年せんがわ劇場演劇コンクールにて戯曲賞受賞。2017、2018年王子小劇場主催佐藤佐吉賞にて優秀戯曲賞受賞。
<公演履歴>
2018年3月「見晴らす丘の紳士」(東京・王子 北とぴあペガサスホール)、2018年7月「彼の男 十字路に身を置かんとす」(東京・下北沢 小劇場楽園)、2019年5月「軽佻浮薄な謀反を起こせ」(東京・新宿 サンモールスタジオ)など。
村田裕子氏が主催する劇団「LiveUpCapsules」 (ライブアップカプセルズ)による舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」(脚本・演出も村田氏)は昨年7月4日(水)~15日(日)の間、東京・下北沢の「小劇場 楽園」にて計18回公演され、各回とも大盛況裏に終了しました。
この舞台は大正期を中心に世界を股にかけ輝きを放っていた鈴木商店が、大正7(1918)年の米騒動の最中において鈴木に対する風評・流言が飛び交う中、本店(東川崎町1丁目、現・神戸市中央区栄町通7丁目)が焼き打ちされるまでを描いたものです。男優ばかり13人による、金子直吉を中心とした鈴木の社員たちのエネルギーがほとばしり出るような熱い演技には、観る者すべてを圧倒するものがあります。
講演会は主催者である港湾局 計画部 港湾計画課・田中謙次係長の司会で始まり、続いて村田氏による自己紹介、自らの演出家としてのキャリア、過去の公演実績等についての説明と続き、まずは講演に先立ち、舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」の短縮版DVDが放映され、参加者の皆様には迫力に満ちた舞台の一端を体験していただきました。
◯「公演関係者」について
一つの公演が本番を迎えるまでには演出家(作家・主宰・プロデユーサー)、舞台監督、舞台美術、照明、音響、音楽制作、衣装、制作、宣伝美術、写真撮影、舞台映像撮影など数多くの関係者が関わっており、演出家のコーディネートの下、これら関係者との綿密な打合せを経て舞台が創り上げられて行くことについて、資料「公演関係者図」により説明がなされました。
◯「公演までの道のり」について
この舞台の企画立上げ(2017年初春)からキャスティング(2018年5月頃まで)、宣伝活動、舞台稽古(2018年6月、約1カ月)を経て本番(2018年7月)を迎えるまでの過程について、資料「公演までの道のり」により説明がなされました。
なお、「演出家によるアクション」(企画の立上げ)があって初めて公演本番に向けてのスタートを切ることができること、が示されました。
◯なぜ、鈴木商店のことを舞台にしようと思ったのか、そのきっかけ
数年前、村田氏が関係者の一人(舞台監督)からの情報で過去に鈴木商店という総合商社があったことを知り、 「鼠」(城山三郎著)を始めとする関連書籍を読んで舞台化の構想を温めていたところ、 「鈴木商店モニュメント」の建立、神戸新聞社による「遥かな海路 巨大商社・鈴木商店が残したもの」の同紙への連載・単行本としての出版などが次々に実現し、舞台化への機運と村田氏自身の気持ちが高まって行った。
◯脚本を作り上げるにあたっての困難等について
個性の強い13人の舞台俳優との関係(演出家としては俳優一人一人の思いを尊重しつつ、全体の交通整理をするくらいの気持ちで接していたこと)や厳しい「収支」など。
◯舞台俳優の本番に臨む姿勢について
俳優は役作りの上で、演じる人物に関する多くの情報を入手し、その人物像を自分のものにした上で舞台に臨んでいること。 演出家の思い ⇒ 関係者全ての思い ⇒ これらの思いが各俳優の体に浸み付いて行くことなど。
最後に、村田氏自身によりこの舞台が来年(2020年)4月に数日間、東京・新宿の劇場(*)で再演されることが紹介されました。
(*)「新宿シアターモリエール」(東京都新宿区新宿3-33-10 新宿モリエールビル2F)
この舞台の再演につきましては、改めて当記念館の編集委員会ブログでも詳細をご案内させていただく予定であり、皆様の御来場をお待ちしています。
講演会は、あらかじめ予約を申し込まれた約90名(関係者を含む)の方の参加をいただき、参加者は村田氏の舞台制作にまつわる丁寧な解説や舞台への熱い思い、数々のエピソードなどに熱心に耳を傾け、大好評のうちに終了しました。
■シンポジウム、第2回講演会の開催について
第2回講演会は10月26日(土)14:00~15:00、齋藤尚文氏(兵庫県立国際高等学校教諭、博士[学術])による講演(演題:鈴木商店の海運事業)を予定しています。
これに先立つ9月21日(土)14:30~16:00(各講演会と開始時刻が異なりますのでご注意下さい)、女性のみのシンポジスト・コーディネーターによるシンポジウム(「女性研究家からみた鈴木商店」)を開催します。
シンポジウムの概要につきましては、下記の関連資料をご覧下さい。
下記の関連資料・関連リンクもあわせご覧下さい。