神戸市で「神戸港と鈴木商店を語る会」(基調講演・パネルディスカッション)が開催されました。
2023.4.28.
鈴木商店の大番頭・金子直吉および社員たちが世界中を駆け巡り、次々と事業を起こしていく様子を描いた舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」の神戸公演が令和5(2023)年4月20日(木)~23日(日)の間、神戸市の「神戸ポートオアシス」(左の写真)にて再演されました。
この度、この舞台公演に合わせた神戸市主催による鈴木商店関連事業の一環として「神戸港と鈴木商店を語る会」(基調講演・パネルディスカッション)が開催されましたのでご紹介します。
■日時: 令和5(2023)年4月22日(土)および23日(日)の両日 14:00~15:30
■場所: 神戸ポートオアシス 5階会議室(神戸市中央区新港町5番2号)
■主催: 神戸市港湾局 振興課
■企画・運営: ラジオ関西
■参加者: 22日(土)104名、23日(日)115名
〔基調講演の講師お二人のプロフィール〕
◯ 小林 由佳 神戸新聞社 論説委員
1990年神戸新聞入社。淡路総局、社会部(現報道部)、文化生活部などを経て経済部へ。長年、企業や財界を取材し、経済部長のときに長期連載「遙かな海路 ~ 巨大商社・鈴木商店が残したもの」を担当。2018年から論説委員として社説を主に担当。
◯ 小代 薫 神戸大学 未来世紀都市学研究アライアンス特命講師
小代 薫建築研究室主宰を経て現職。博士(工学)。一級建築士。専門は建築設計、まちづくり、建築史・都市史。歴史学の総合性や建築設計という技術と文化を横断し全体をまとめ上げる職能を活かして、学際的な文理融合研究プロジェクト「MIRAI BOSAI」や、地域の歴史を将来のまちづくりに繋げる公民学連携プロジェクト「海と山の街、神戸の風景をつくる」などを企画運営。
〔基調講演のテーマ〕
小林 由佳「鈴木商店を育んだ神戸港」~創業時を中心に~
小代 薫「鈴木商店が神戸の街にもたらしたもの」~鈴木商店と神戸の歴史・文化を再発見 関連事業~
※22日、23日ともにテーマは同一
〔パネリスト4名のプロフィール〕
<4月22日(土)登壇>
◯ 小林 正幸 双日株式会社サステナビリティ推進室 専門部長
鈴木商店記念館発起人。設立当時、全国の鈴木商店愛好家を集め組織化。広報部在籍時よりマンガを制作。双日歴史マンガ「総合商社 双日 未来を創造した先駆者たち」の原作者。舞台「彼の男 十字路に身を置かんとす」の再演に向け尽力。2019年7月から現職。1998年入社(当時、日商岩井)
◯ 村田 裕子 LiveUpCapsules代表(作家・演出家)
劇団「LiveUpCapsules」(ライブアップカプセルズ)主宰。2001年に同劇団旗揚げ。近現代を中心に、市井に生きる人々を通して今日の日本に通じる問題を抉り出す、骨太で社会派な作品を作り出す。また、劇場の多方面に客席を配置しての舞台作りを継続している。 2014年8月、ニューヨーク市で行われた演劇フェスティバル FringeNYC に参加。2015年7月、"せんがわ劇場演劇コンクール" にて戯曲賞受賞。王子小劇場主催「佐藤佐吉賞」2016・2017にて優秀脚本賞受賞。2019年度上演「軽佻浮薄な謀反を起こせ」にて脚本賞受賞。
◯ 小林 由佳 神戸新聞社 論説委員
基調講演の講師のプロフィールご参照
◯ 小代 薫 神戸大学 未来世紀都市学研究アライアンス 特命講師
基調講演の講師のプロフィールご参照
<4月23日(日)登壇>
◯ 川崎 博也 株式会社神戸製鋼所 特任顧問
1980年株式会社神戸製鋼所入社。加古川製鉄所副所長などを経て、2013年代表取締役社長、2016年から会長を兼務。2018年6月から現職。神戸商工会議所第32代会頭のほか、一般社団法人日本産業機械工業会副会長。
◯ 泉谷 幸児 双日株式会社常務執行役員 関西支社長
1983年入社(当時、日商岩井)。化学品本部に配属。現在に至るまでに、鈴木商店ゆかりの企業と取引経験多数あり。イタリア、米国に通算16年駐在。二回目の米国駐在時は、米州総支配人を務めた。2020年から生活産業・アグリビジネス本部長を経て、2022年4月より現職。
◯ 小林 由佳 神戸新聞社 論説委員
基調講演の講師のプロフィールご参照
◯ 小代 薫 神戸大学 未来世紀都市学研究アライアンス 特命講師
基調講演の講師のプロフィールご参照
〔パネルディスカッションのテーマ〕
4月22日(土) 各分野のスペシャリストが語る鈴木商店と神戸(歴史探訪編)
4月23日(日) 鈴木商店ゆかりの財界人とともに語る鈴木商店と神戸(未来志向編)
講演会はラジオ関西のアナウンサー、林真一郎氏の司会で始まり、まず主催者として神戸市港湾局副局長 川中 徹氏(4/22)・神戸市港湾局長 長谷川 憲孝氏(4/23)よりご挨拶があり、続いて当記念館の編集副委員長・金子 直三よりご挨拶とあわせて鈴木商店および当記念館の概略が紹介されました。
その後、小林 由佳氏、小代 薫氏による基調講演に続いて4名のパネリストによるパネルディスカッションが行われました。
【基調講演】
▷小林 由佳氏 テーマ「鈴木商店を育んだ神戸港」 ~創業時を中心に~」
鈴木商店といえば番頭・金子直吉の快進撃が語られることが多いが、敏腕創業者であった鈴木岩治郎にもスポットを当て、当時の輸入港としての神戸港の特徴に関する説明を交えながら、岩治郎が培った地盤があったからこそ金子が活躍できたことなどを中心に解説されました。
※講演の概要につきましては、末尾の関連資料をご覧下さい。
▷小代 薫氏 テーマ「鈴木商店が神戸の街にもたらしたもの」 ~鈴木商店と神戸の歴史・文化を再発見 関連事業~
チャンスを求めて多くの人が神戸に集まり、そこから生まれた多様性が新産業に繋がっていき、金子直吉が新産業を大きくしていった。後年、神戸市は東西に拡げる都市計画を決定。鈴木商店が活躍していた時代の用途地域がそのまま都市計画に適用され、現在の神戸市の骨格をなしているという、鈴木商店が業容を急拡大していった当時の神戸について都市形成史の観点から解説されました。
※講演の概要につきましては、末尾の関連資料をご覧下さい。
【パネルディスカッション】
▷4月22日(土) テーマ「各分野のスペシャリストが語る鈴木商店と神戸」(歴史探訪編)
鈴木商店の発展に伴って神戸はどのように変貌していったのか? 舞台の登場人物の中で最も凄いと思う人物・気になる人物は? 鈴木商店の人材の多用性について、鈴木商店が神戸の歴史に残したものは?などについて意見が交わされました。
※パネルディスカッションの概要につきましては、末尾の関連資料をご覧下さい。
▷4月23日(日) テーマ「鈴木商店ゆかりの財界人とともに語る鈴木商店と神戸」(未来志向編)
鈴木商店で、この方は凄い、この方は現代でも通用するのではないかと思う方は? 鈴木イズム、金子イズムが今の会社にも受け継がれているか? 新人との向き合い方について。神戸という街が果たす役割とは? 神戸から発信できることは? などについて意見が交わされました。
※パネルディスカッションの概要につきましては、末尾の関連資料をご覧下さい。
2日間にわたる「神戸港と鈴木商店を語る会」はいずれも100名を超える方の参加をいただき、参加者は明治・大正期に急成長を遂げた鈴木商店と地元・神戸との関わりをテーマとした基調講演・パネルディスカッションに熱心に耳を傾け、大好評の裡に終了しました。
この度の基調講演・パネルディスカッションを通じて鈴木商店および鈴木商店と神戸の関わりについて、より理解を深めていただくことが出来たなら幸いです。