⑯羽幌町郷土資料館

羽幌炭砿の隆盛を今に伝える貴重な施設

羽幌町郷土資料館は昭和57(1982)年に閉校となっていた築別中学校の校舎を利用して開館したが、市街地から遠いとの理由で平成元(1989)年5月1日、旧羽幌簡易裁判所庁舎を改修し、移転の上再オープンした。その際、「緑の村」(*)の羽幌炭砿展示室に展示されていた羽幌炭砿と炭砿鉄道関連の品々もここに集約された。

(*)昭和57年6月、太陽小学校跡地を利用しレクリェーション・研修施設としてオープン。平成13年3月閉鎖。

建物は昭和25(1950)年12月に竣工したもので、高い天井、アーチ型の梁、分厚い壁、当時のままのシャンデリアなど、その重厚な造りは今も健在である。

羽幌町開拓の歴史、町の発展の歴史(ニシン漁の時代、炭鉱の時代など)が一目で分かるように、展示物・映像・写真・資料など1,700点余りが備えられている。また、2階には町内で発掘された貴重な化石類なども展示されている。因みに、「羽幌」の地名は、アイヌ語の「ハブル」(柔らかいところ)、「ハポロペツ」(広大に流れ出る川)に由来すると言われている。

現在は、地元や札幌のバス・ハイヤー会社による築別炭砿、羽幌本坑、上羽幌抗の炭鉱遺構を巡るツアーが企画され、誰でも遺構の探訪に出かけることが可能となっているが、ツアー客は通常、最初に資料館に立ち寄り、炭砿に関する知識を得てから現地に赴くことになっている。

資料館玄関をくぐると、すぐ右側に炭砿と鉄道に関する展示コーナーがあり、次のような品々が展示されている。

〇築別炭砿の「大竪入」坑道の坑口上部に掲げられた「築別本坑」名の表示坂
〇手掘り時代の掘削器具(採炭ドリル、採炭ピッケルなど)
〇ヘルメット、靴、作業服などの各種装備品
〇羽幌炭砿鉄道株式会社の看板
〇羽幌砿業所の看板
〇塊炭
〇羽幌炭の石炭袋
〇築別炭砿駅、曙駅、築別駅のプレート
〇鉄道営業所の木製の看板
〇鉄道のレールの一部
〇羽幌炭砿野球部が都市対抗野球大会に出場した時のユニフォーム

さらに、炭砿、鉄道に関するDVD・写真・資料も備えられており、希望者はいつでも利用することができる。

ここを訪れると、当時の羽幌炭砿の隆盛に思いを馳せることができる貴重な施設である。

  • 羽幌町郷土資料館全景(平成26年7月)
  • 羽幌炭砿関連展示物コーナー(平成26年7月) 
  • 塊炭と石炭袋(平成25年頃)

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