株式会社 江戸金
鈴木岩治郎とともに菓子職人を目指した金次郎が創業した「江戸金」
幕末の文久2(1862)年、下関に創業した「江戸金」は、代表銘菓“亀の甲せんべい”で知られる和菓子の老舗です。江戸・麹町生まれの創業者・金次郎(後の増田多左衛門)がその名に因み「江戸金」の屋号で、長崎仕込みの南蛮菓子風の煎餅を売り出したところ好評を博し、次第に全国に名を知られるようになりました。
弘法大師が中国から伝えた煎餅のルーツと云われる亀の甲型せんべいの伝統を継いでいる“江戸金の亀の甲せんべい”は、歴史ある下関の町とともに歩んで来ましたが、江戸金は鈴木商店とも浅からぬ縁がありました。
江戸金創業者の金次郎と鈴木商店創業者の鈴木岩治郎は、ともに天保12(1841)年生まれで、菓子職人を目指した二人は、二十代の初めに弥次喜多道中の如く二人旅で江戸から長崎へ菓子職人修業に出、やがて長崎からの帰途、二人は金次郎の長州藩の兄が居る下関に立ち寄り、そこで鰻屋(兼菓子屋?)の「桝(ます)初(はつ)」を営む増田初蔵のもとに職人として入ります。
金次郎は、見込まれて増田家の養子となり、やがて新商品の煎餅を売り出して「江戸金」を創業、一方の岩治郎は、下関から江戸への帰路立ち寄った神戸の辰巳屋で働く縁からカネ辰「鈴木商店」を興すことになります。砂糖商・鈴木商店は、店主岩治郎が早逝した後、未亡人よねと番頭金子直吉により下関を足場に目覚ましい飛躍の第一歩を踏み出したのです。
江戸金は、今年で創業152年目を迎えます。「菓子はその地方の文化そのものである。」という信念をモットーに、「亀の甲せんべい」は昔のままを守り続けます。